斉諧俗談106
斉諧俗談 106
〇尾花馬市[おばなのうまいち]
出羽の国尾花沢[おばなざわ]という所で、毎年六月中旬の頃、陸奥出羽の馬を引き出して馬市が開かれる。ここでは、馬を買う者が値段をつけるが、馬主がその値段を負けない時は、買う者が馬主の頭を叩く。一回叩けば銭を百銭出し、二回叩けば二百銭を出す。もし踏み倒して出さなければ、金一分を出して値段を増すという。なかなかおもしろい。珍しい事なのでここに記しておく。
[解説]買い手が値段をつけ、売り手が拒否すると買い手が売り手の頭を叩き、百銭を払って決まる。それをも拒否すると再度叩き、二百銭。これも拒否した場合、逆に買い手は一分を増した金額で落とさなければならない。結局、痛い思いはするものの、我慢すれば売り手が有利になる。果たしてそうなのかよくわかりませんが、珍しい売買方式ではあります。
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