政談167

【荻生徂徠『政談』】167

(承前) 総じて物価がとても安い時は、銭一文でも売買が出来、これより安いものはないといった状態である。銭の流通が少なくなり、銭が貴重なものとなったからといって、一文銭を二つにも三つにも割って使うことはできない。ゆえに銭を最も価値の低い通貨と定めれば、これを土台にして金銀の威光の強弱を知ることができる。この道理により、銭を大量に鋳造すれば金銀の価値は半減するが、これは大したことではない。しかし、銭をいくら増やしても、別の土地に旅宿のごとく住む現状を改めず、制度を確立しなければ、短期的には世間が潤うように見えるものの、元禄の粗悪な金銀をそのままにして手をつけず、現状のままでいいという考えでは、移動がますます盛んとなり、困窮するばかりとなる。


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