佛像圖彙164
【164】東方 降三世明王(ごうさんぜみょうおう)
[通釈]
東方 降三世明王 梵字はウン
本地は薬師如来。いわゆる三世とは貪・瞋・痴(とん・じん・ち)といわれるもの。この三毒を降すので降三世(ごうさんぜ)と名けられた。
左足に自在天を踏みつけるのは煩悩の障りを断つ事を表す。
右足に烏摩后(うまこう)を踏みつけるのは知障を断つ所を表す。
煩悩障は麁(そ 粗)であるために男に例えて強く踏み、知障は細やかなるために女に例えて和らかに踏む。
[注]
三世・貪瞋痴 人間のもつ根元的な三つの悪徳。自分の好むものをむさぼり求める貪欲,自分の嫌いなものを憎み嫌悪する瞋恚(しんい),ものごとに的確な判断が下せずに,迷い惑う愚痴の三つで,人を毒するから三毒,三不善根などとも呼ばれる。
自在天 欲天の主だが、ここでは大自在天つまりシバ神を指す。
烏摩后 シバ神の妃。パールバティ。元々は山の神。
[解説]
降三世明王は、五大明王、または八大明王の一つ。東方に配される。阿閦如来(あしゅくにょらい)の化身。貪瞋痴の三毒と煩悩、所知の二つの障りを降伏(ごうぶく)し断ち切る。
形像には、八臂像、四臂像、二臂像があるが、多くは八臂像で、これに三面と四面とがある。足下に大自在天とその妃である烏摩を踏みつけ、剣や杵(しょ)を手に持つ。功能としては、調伏、勝軍、除病、敬愛などがあげられている。降三世。
画像は木造降三世明王立像(平安時代 昭和16.11.6国指定 小浜市門前・真言宗御室派明通蔵=若狭小浜のデジタル文化財より)
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