斉諧俗談72
斉諧俗談 72
〇大峯鬼[おおみねのおに]
大和の国吉野郡大峯に山人がいた。人々から鬼と呼ばれていた。往来する人の旅の荷物、行李などを運んでは駄賃を貰っていた。姿かたちがたくましく、とても鬼に似ていた。そこで大峯の鬼と呼ばれた。伝承によると、五鬼前鬼の末裔であるということだ。
[語釈]
前鬼 前鬼・後鬼(ぜんき・ごき)は、修験道の開祖である役小角(えんのおづぬ)が従えていたとされる夫婦の鬼。前鬼が夫、後鬼が妻。
五鬼 前鬼と後鬼に五人の子があり、五鬼(ごき)または五坊(ごぼう)と呼ばれた。名は真義、義継、義上、義達、義元。彼らは役小角の五大弟子と言われる義覚、義玄、義真、寿玄、芳玄と同一視されることもある(ただし、義覚・義玄は前鬼・後鬼と同一視される弟子と同一人物)。
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