経典解題1
【経典解題】1
大般若波羅蜜經
大乗思想の一つである般若を説いた仏教経典の集大成。全600巻にも及ぶ。般若とは般若波羅蜜(はんにゃはらみつ)の略で、一切は皆空(くう)にして幻の如しと観ずる思想。それらの思索が積み重ねられ紀元150年代頃より経典化され、600年代には600巻の膨大なものとなった。
一番初期のものは八千頌般若(頌とは梵語ショローカの音訳で章段とでも理解するもの)で、鳩摩羅什(くまらじゅう)の小品般若経が漢訳の嚆矢である。
後、二万五千頌般若や金剛般若(鳩摩羅什・菩提流支・真諦・玄奘がそれぞれ訳している)さまざまな般若経典が将来され、大般若として集大成された。
現行の大般若は天竺より帰国した玄奘が唐の太宗皇帝の勅許を受けて将来した経典の訳を始めた中、高宗皇帝の顕慶5年より足掛け4年を経て完成させたもの。玄奘はこの時あまりの多さに節録しようとしたが、その度に深い谷に落ちそうになる等の悪夢を度々見たために逐語訳する事にしたとの逸話がある。
本邦では天平年間に道慈が朝廷に対し読経する事を奏請したのが嚆矢。次第に普及し、神道や民間信仰とも結合して写経や読経が盛んに行われた。膨大なため真読(全巻を読経する)ことは稀で、多くの僧侶を集めて転読(巻名を読み上げ、後は折帖をアコーディオンのようにばらばらと宙に靡かせる)されることが多い。
なお、般若心経(はんにゃしんぎょう)は大般若の精髓を集めたものとされており、通行のもの(=広く読まれているもの)は玄奘訳だが、鳩摩羅什を始め全部で七本の訳がある。
※図はこちら →https://note.com/11111hiromorinn/n/na52fa4a804a4?app_launch=false
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