政談345

【荻生徂徠『政談』】345

 ●大名の潰れたる、その家来を郷土にすべき事

 大名の家が、謀叛などお咎めを受けたわけでもないのに家が潰れた場合、その家来にはお咎めはない。しかし、家が潰れると家来が流浪の身となるのは当たり前のようになっていて、どうすることもできないが、痛ましいことである。もともと武士であるから、町人や百姓の仕事もままならない。渡世する技をもっていないために、悪事に手を染めてしまう者もいる。これは一義的には本人の罪ではあるが、上の政道が不十分だからということもできよう。これにより婿養子によって跡目を立てることも、世間では穏便に受け止めるだろうが、しかし天が滅ぼした家を人の作為で興し続けさせるのは、天の意向に対して恐れ多いことである。

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