【諸乗法数】1-13

【諸乗法数】1-13 


一字 『獅子吼經』に「法唯一字、所謂無字」と。 

註 一字は無の事。『獅子吼經』は『阿含經』の一部。 

疏 先述のとおり、『阿含經』は釈尊の言行録といったものであり、釈尊が弟子たちに語ったとされる言葉が記されている。弟子といっても直弟子ではなく、弟子の弟子、そのまた弟子の弟子といったようにかなり後の信奉者たちによってようやく文字に記されたので、それまでは口承だった。このため、伝言ゲームのように師の言葉も変化した部分があることを織り込んで読む必要があるが、強く印象づけられた言葉については核心として伝えられるものである。この「釈尊の教えは「無」である」というのなどはまさにそれである。 


一香 『四念處經』に「一色一香、無非中道」と。 

註 鼻で嗅ぐもの目に見る物等この世の全ては眞理を含んでいるとの意。『四念處經』は『阿含經』の一部。『摩訶止觀』に引用されて著名となった。四念とは瞑想を妨げる四つの念い。身念處(体は不浄)・受念處(心は苦しみ)・心念處(心は無常)・法念處(全ては無我)。

疏 『摩訶止観』は仏教の論書の1つで、止観についての解説書。10巻。594年に中国荊州玉泉寺で天台智顗によって講義され、弟子の章安灌頂によってまとめられた。天台三大部の一つ。更に、止観は仏教の瞑想法の一つで、止は心を乱さず特定の対象に注ぐこと、観は止によって正しい知恵を起こし、一切の対象を明らかに観察すること。この両者を互いに成立させて仏道を完成する実践法とする。   

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