佛像圖彙500

【500】毘楼勒叉(びるろくしゃ) 


[通釈] 

毘楼勒叉 梵字はバ― 

増長天の事である。鳩槃荼(くばんだ)・薛茘多(へいれいた)を従える。南洲の人を守護する。


[注] 

鳩槃荼 鳩槃荼は、インド神話の魔神で、仏教では護法神の一族である。弓槃荼・倶満拏とも書く。サンスクリットではクンバーンダ 、パーリ語でクンバンダ。陰嚢のような形をしていることから陰嚢・甕形鬼・冬瓜鬼と漢訳される。また、人の睡眠を妨げて災難を引き起こすことから厭魅鬼・厭眉鬼とも呼ばれる。 

薛茘多 餓鬼のこと。薜茘多はサンスクリット語の音写。仏教の世界観である六道において餓鬼道(餓鬼の世界)に生まれた者。原語の preta (プレータ)はかつては死者の霊を指したが、仏教において輪廻転生の生存形態である六道に組み込まれた。preta は鬼とも訳される。鬼は中国語で死者の霊・亡霊を意味している。 

南洲 南閻浮洲(なんえんぶしゅう)。須彌山(しゅみせん)をめぐる四洲の一つ。須彌山の南方海上にある大陸。人間の住む世界で、もとインドの地を想定したもの。南瞻部洲(なんせんぶしゅう)。南閻浮洲。閻浮提。南閻浮。南浮。 


[解説]

  図の説明にある通りで、増長天も既出。鳩槃荼と薛茘多は初出。図には描かれていない。 

 下は興福寺蔵の鳩槃荼像と、東京国立博物館蔵の餓鬼草紙      

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