佛像圖彙420

【420】三宝荒神(さんぽうこうじん) 


 [通釈] 

三宝荒神 梵字はバン

これは小島荒神である。悪人を治め罰する。故に麤乱荒神(そらんこうじん)ともいう。

又三宝を衛護することから三宝荒神ともいう。 


[注] 

 前回の三宝荒神は見出しが「三實荒神」(さんじつこうじん)となっているが誤り。 今回のものと合わせて二つの態様を示している。


[解説] 

 小島荒神は、荒神の別様。恐らく備前児島(小島)修験が流布した神であろう。荒神信仰は児島修験の勢力が強かった瀬戸内地方で盛んであることからも推察される。 

 荒神信仰は仏の形を取っているが、正式の経典には據り所が無く、また記紀(古事記・日本書紀)等の記述も明確ではない。民間信仰がそれぞれの体系に取り入れられた物であろう。或いは魄神との記述から、荒魂を神格化した物でもあろうか。 

 海雲寺の荒神を受ける時は首から下に下げてはいけないとの事で、昔は皆首に小風呂敷で結び付けたとか。又途中寄り道してはならぬとも。これは参詣の亭主連が品川の遊郭で遊ぶのを防ぐ女房連が生み出した物とか。江戸時代、伊勢参りや大山参りなどから江戸に戻る男衆は、江戸の手前、品川の宿場で一泊し、「精進落とし」と称して遊郭で遊んだ。もともとは品川で旅の疲れを癒し、汚れを落とし衣服を改めて木戸を通って江戸府内に入ったものだが、もとよりそんなまじめな人は少なく、旅の恥はかき捨てとばかりに女郎遊びをするようになった。  

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