佛像圖彙410
【410】増長天王(ぞうちょうてんおう)
[通釈]
増長天王 梵字はア
自他の善根を増長させるのでこの名がある。
『華厳経』には毘留勒と、また『長阿含経』には南方の天王毘瑠璃と名づく。
[解説]
増長天は、「ぞうじょうてん」とも。毘留荼迦(びるだか)天、毘琉瑠(びるら)天、増長天王とも称する。須弥山(しゅみせん)の第四層に住して南方を守り、無量百千の鬼の主とされる。その形像は一定しないが、普通、武将形で、赤肉色の身に甲冑と種々の天衣(てんね)を着け、右手に剣を持ち、左手を腰にあてた姿をして憤怒相(ふんぬそう)で表される。
画像は東大寺戒壇院の増長天像。四天王像はどれも踏みつけられている邪鬼の姿、表情が哀れであるが、仏道修行においてはまさに心を鬼にして一心不乱に精進することが肝要。少しでも邪鬼(煩悩、欲)に心を許してしまうと、それまで培ってきたものがすべて台無しとなってしまう。
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