佛像圖彙409

【409】広目天王(こうもくてんおう) 


 [通釈] 

広目天王 梵字はサ 

『孔雀経』にいう、「広目は専ら罰悪を主(つかさど)る。苦心に遇て発心させる」と。 

『華厳経』に毘留摶叉という。 


[注] 

孔雀経 唐の不空の訳。正式には佛母金耀孔雀明王經。 


[解説]

  広目天は、帝釈天に仕える四天王の一神。須弥山(しゅみせん)の西中腹に住み、西方の世界を守護する。 形像は甲冑(かっちゅう)をつけた憤怒形(ふんぬぎょう)で、左手に巻物、右手に筆をもつ。

  目について。梵名のヴィルーパークシャは本来サンスクリット語で「種々の眼をした者」あるいは「不格好な眼をした者」という意味だが、「尋常でない眼、特殊な力を持った眼」さらに千里眼と拡大解釈され、広目と訳された。又は毘楼博叉とも称する。

  画像は、東大寺戒壇院の広目天像。この像も邪鬼を踏みつけている。これらの邪鬼は仏道修行を妨げようとするもの。煩悩ともいえるし、煩悩に動かされる心の弱さと解することもできる。煩悩を克服するためには生半可なことではできないため、四天王像のように厳しく懲らしめる毅然とした心が必要。   

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