佛像圖彙398

【398】風天(ふうてん) 


[通釈] 

風天 梵字はバ(本来は長音にてバー) 赤色の肌にて杖幡(じょうばん)を持つ。 


[注] 

杖幡 仏(ぶつ)・菩薩(ぼさつ)の威徳を示す荘厳(しょうごん)具。古代インドの軍旗が源流で、初めは仏教教団の標章に用いられたが、のちに法会や説法のとき堂内や境内にかける荘厳具となった。材質的には布製の裂(きれ)幡が多く、ほかに金銅幡、玉(ぎょく)幡などがある。 


[解説] 

 風天は、仏教における天部の一人で、十二天の一人。風を神格化したもので、インドのヴァーユが仏教に取り入れられたもの。腕は2本で甲冑を着て片手に旗のついた槍を持ち、風天后・童子を眷属とするものがある。両界曼荼羅や十二天の一尊として描かれるほかは、単独で信仰されることはあまり見られない。 

 余談。「フーテンの寅」のフーテンは「瘋癲」で、常軌を逸した行動をとる者。本来は一所不住にて諸方を行脚、修行する禅僧のこと。 

高野山霊宝館蔵  

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