佛像圖彙374 付・浄土双六
【374】蛆(むかで)
[通釈] 十六 蛆
[浄土双六]29 王法(おうぼう)
「おうぼう」と仮名が振ってあるので、仏教語です。この場合、帝王の守るべき法(「王法正理論」)、帝王の定めた法(「灌頂経」など)、広く世間一般の法や掟(「無量寿経」など)の3通りの意があります。
日本では、中世において「平家物語」に仏法王法牛角也(仏法と王法とは牛の角なり)とあるように仏法と並記され、両者が牛の角、現代の言い方だと車の両輪のようにあいまって、全き世界となるという仏法王法両輪論が展開されました。
絵は年貢を納める所。農民にとって唯一の、そして最大の税が年貢です。決められた量の完納は農民だけでなく役人たる武士にとっても大切なこと。規定の量目よりも大きな桝を使って量るといった不正の例があったようですが(1升桝のはずが1升1合入るといったもの。この場合、農民にとっては不足となり、逆に役人のほうは余禄が入る。逆に上げ底をして少なくする桝も)、納税、徴税は行政の根幹であり、信用にも威厳にもかかわる。万事、規則通り正しく王法が行われる世であってこそ、仏法も尊重され、正しく広まるというわけです。仏法さえ信奉すれば世間のルールはどうでもいいというのでは、その仏法も決してよいものとはなり得ません。
王法 佛法の對義語でしょうか。俗世間での法や決まりの事。本來の佛徒から見れば佛法が最優先されるべきですが、爲政者に阿る徒が「王法爲本」を唱えるに至りました
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