佛像圖彙373 付・浄土双六
【373】蝉(せみ)
[通釈]
十五 蝉
[解説]
三十六禽の絵は、乗っているものと、頭に戴いているものとがあります。元にした絵があるのかどうか不明ですが、絵師も苦労している様です。
[浄土双六]28 仁義(じんぎ)
これは儒家の専門といってもよいもので、孔子は仁を説き、およそ100年後の孟子は義を説きました。現代風に解けば愛と正義でしょう。どちらも政を為す者に最も必要な徳目。今や地を払っています。
絵は、落とし物をした旅人に土地の人が声を掛けて教えているところ。悪い心を起こせば、旅人は気づかないまま去っているのだから、このままそっと着服して逃げてもわからない。しかし、落とし物を見つけ、落とし主が見えている情景で、何の邪念もなくすぐに声を掛けたり、それを持って走って行ったりと行動に出るのは、身に仁義の心がそなわっているからです。邪心、邪念があるうちは成仏はとても難しい、そのように昔の人たちはこのすごろくをやりながら肝に銘じたことでしょう。落とし物に限らず、困っている人を見たらすぐ手を差し伸べる、慈悲の心ですね。
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