佛像圖彙361 付・浄土双六
【361】丑(うし)
[通釈]
三 丑 丑
[解説]
金牛宮(きんぎゅうきゅう)。黄道十二宮の2番目で、おうし座。獣帯の黄経30度から60度までの領域で、だいたい4月20日(穀雨)から5月20日の間まで太陽が留まる(厳密には、太陽通過時期はその年ごとに異なる)。四大元素の土に関係していて、処女宮・磨羯宮と一緒に地のサインに分類される。
[浄土双六]16 人道(にんどう)
六道の一つ。我々が居る現世。人道には四苦八苦がある。四苦は絵に描かれている生・老・病・死。正しくはそれぞれ苦の字がついて生苦・老苦・病苦・死苦。この他に愛別離苦(あいべつりく)・怨憎会苦(おんぞうえく)・求不得苦(ぐふとくく)・五蘊盛苦(ごうんじょうく)の四つを合わせて八苦。
それぞれの意味は次の通り。
生苦:衆生の生まれることに起因する苦しみ。
老苦:衆生の老いていくことに起因する苦しみ。体力、気力など全てが衰退していき自由が利かなくなる。
病苦:様々な病気があり、痛みや苦しみに悩まされる仏教問題。
死苦:死ぬことへの恐怖、その先の不安などの自覚。衆生が免れることのできない死という苦しみ。また、死ぬときの苦しみ、あるいは死によって生ずるさまざまな苦しみなど。
愛別離苦:親・兄弟・妻子など愛する者と生別・死別する苦しみ。愛する者と別離すること
怨憎会苦:怨み憎んでいる者に会う苦しみ
求不得苦:求める物が思うように得られない苦しみ
五蘊盛苦:五蘊(人間の肉体と精神)が思うがままにならない苦しみ
仏教は「苦」を抜き「楽」を与えるのが究極の教えで、もちろん生まれ出た以上、根本の四苦は避けられないし、他の四苦も人生の中で必ず直面し味わわされるもの。これらを完全に消したり回避することは釈尊ですらできなかったことですし、四苦八苦は如何ともし難いものであるという事実をしっかりと認識したうえで、少しでも心が楽になる、つまり諦めるということができるように修行をし、道を誤って地獄へ堕ちるとったことがないようにする、それが仏教だと理解しています。プロの僧侶や宗派によっていろいろな考え方や教えがありますが、大元は苦を抜き楽を与える、これに尽きると考えます。
いわゆる新興宗教の多くは「幸福」の名のもと、現世利益を目的とし、勧誘のうたい文句にしていますが、仏教は現世利益の「幸福」は説いていないことは、この双六を見てもわかります。上がりは浄土、現世ではありません。
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