佛像圖彙357 付・浄土双六
【357】蝎虫宮(かつちゅうきゅう)
[通釈]
十一 蝎虫宮
[解説]
蝎虫宮は、密教の宿曜道における十二宮の一つ。サンスクリット名を「ヴリシュチカ(Vṛścika)」といい、サソリを意味することから蝎神(かつじん)、蠍宮(かつぐう)、天蠍宮(てんかつぐう)、蝎虫宮(かっちゅうぐう)と訳すほか、音から毘梨支迦(びりしか)とも呼ばれる。西洋占星術における蠍座にあたり、期間としては立冬から小雪に至るまで(10月から11月にかけて)を指す。また二十七宿の氐宿、房宿、心宿にあたる。病気や禁忌を司るとされ、胎蔵界曼荼羅では西方(下側)にサソリの形で描かれる。
[浄土双六]12 修羅(しゅら)
六道の一つ。修羅道。戦いに明け暮れる争いの世界。戦いといっても戦争だけでなく、人と人が絶えずいがみ合い、相手を蹴落としたり罠にはめて自分がのし上がろうとする競争社会もまた修羅といえます。「修羅場」という言葉で今もよく使われます。 六道(ろくどう、りくどう)とは、仏教において、衆生がその業の結果として輪廻転生する6種の世界(あるいは境涯)のこと。六趣、六界とも。
六道は次のとおり。
天道(てんどう、天上道、天界道とも)
人間道(にんげんどう)
修羅道(しゅらどう)
畜生道(ちくしょうどう)
餓鬼道(がきどう)
地獄道(じごくどう)
[雑記]
最近視聴したお坊さんの動画二つ。
その一。真言宗のあるお坊さんが、最近盛んになっているご宝号念誦(「南無大師遍照金剛」を108遍、あるいは1080遍、それ以上)について、「お大師さまはご自身が信仰の対象となる事など望まれていなかったはずだ」として批判されていました。私のような宗門外の凡夫には可否の判断はできませんが、常におかしいと思うことがあれば疑問を呈したり批判をすることで前進したり強固なものとなるので、一石を投じるものとして一考に値すると思います。
その二。某宗のご住持。法話で三蔵法師についての質問があり、そのご住持は三蔵といえば玄奘三蔵の固有名詞だと思い込んでおり、調べ直したら「大師」「尊者」などと同様、「三蔵」は多数存在するのを初めて知ったと自身の無知ぶりを恥じておられました。論語にも「知らざるを知らずとなす、これ知るなり」「過ちては改むるに憚ることなかれ」とあるように、言い訳や取り繕いをすることなく不明を認めたのは良いことでした。
ちなみに、三蔵とは経蔵・律蔵・論蔵の三蔵に精通した僧侶(法師)のことで、サンスクリット語などで書かれた経典を漢訳した訳経僧も三蔵法師と崇められるようになりました。翻訳は内容を完全に理解していないとできないものです。
三蔵法師については本書「佛像圖彙」でもこのあと登場するので具体的なことはそこで述べますが、日本人でも近江出身の興福寺の僧の霊仙が唯一「三蔵」の称号を与えられています。しかし、一般にはほとんど無名な存在となっており残念なことです。
話を戻して、そのご住持が「三蔵」が複数いることを知ったのはよしとしたいところですが、改めて説明をするにあたり、「三国志に出てくる三蔵法師(玄奘のことを指している)」「三国志の三蔵」というように、およそ20回ほども「三国志」と繰り返しておられた。これは「西遊記」の間違い。三国志の頃は仏教の伝来はあったかもしれませんが、まだ盛んなものとはなっていません。ましてや玄奘ははるか後世の唐代の人。唐の人のことか三国志に出るはずもありません。
三国志にしろ西遊記にしろ、一般の人でも愛読者や詳しい人はたくさんおり、この動画配信でも多くの「メンバー」が視聴し、随時チャットで声援やひとことを伝えているのだから、誰か一人ぐらい「三国志ではなく西遊記です」と教えて差し上げればよいのに、遠慮してか、それとも誰も知らないのか、とうとう訂正と改めての三蔵の説明が更なる誤りを犯しながらそのまま完結してしまうということになってしまいました。
このご住持の動画はメンバー制で実名登録を求めており、前はそんなことがなかったのに敷居が高くなり、私らのような者は指摘することも難しくなってしまいました(以前は可能で、私も書き込みをしたことが複数回あります)。
真冬に1日6回冷水をかぶる百日間の大荒行を4回もされたというほどのご住持が「三蔵法師」を知らなかったというのはいささか驚きですが、基本的な誤りを指摘しない(できない)メンバーというのも頼りないと思った次第です。
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