佛像圖彙352 付・浄土双六
【352】白羊宮(びゃくようきゅう)
[通釈]
四 白羊宮
[注]
四は六が正しい。誤刻であろう。当時は原稿の和紙を版下として版木に貼りつけ、彫師が彫る。原稿に誤字があってもそのまま彫ることが多いが、文章が読める彫師(彫工とも)だと正しい字をわざわざ彫ることもあった。この「四」の場合は恐らく原稿が間違っており、それをそのまま彫ったと思われるが、このような単純な誤りは理解に苦しむ。
[解説]
白羊宮は、黄道十二宮の1番目。おひつじ座。獣帯の黄経0度から30度までの領域で、だいたい3月21日(春分)から4月20日(穀雨)の間まで太陽が留まる(厳密には、太陽通過時期はその年ごとに異なる)。四大元素の火に関係していて、獅子宮・人馬宮と一緒に火のサインに分類される。
[浄土双六]7 愚癡(ぐち)
愚癡は三毒煩悩の一つ。無明(むみょう)。仏教の教えを知らず、道理やものごとを如実に知見することができないこと。一般的には「愚痴」と表記し、悩み(迷い)によって的確な判断の出来ないことをいいます。
絵は商家の主人と妻子(あるいは娘と孫)だと思われます。眼鏡をかけた主人がそろばんを見ながら悩ましげな表情。売り上げがよくないのか、ブツブツと愚痴をこぼしている姿です。どんな時もある、なるようになる、と構えればもっと冷静かつ鷹揚に構えて知恵も回るのでしょうが、なかなかそういう境地になれるものではありません。
こうなるとますます視野が狭くなり、家族のことも考えなくなるどころか、目の前にいても邪魔にさえ思うように。心がぐらついてしまうと、人や物に八つ当たりをし、自分を追い込み苦しめるばかりですね。
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