佛像圖彙347 付・浄土双六
【347】雙女宮(そうにょきゅう)
[通釈]
十二宮 一 雙女宮(双女宮)
[解説]
続いては十二宮。元々メソポタミアで発達した占星術が印度に渡り、独自の発展を遂げたものが仏教と共に東伝したもの。宿曜経(正式名称は文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経。二巻。唐の不空の訳)に説かれている。現在、占いといえば生まれた日を基にした星座占いが代表的で、朝のテレビ番組の定番コーナーにもなっているが、12星座はこの十二宮(黄道十二宮)が由来である。
本書では双女宮となっているが、正しくは双児宮(そうじきゅう)。双子座である。
[浄土双六]2 殺生(せっしょう)
『沙石集』にある有名な話。殺生を好んで鷹を使う男がいた。ある時、鷹狩りの帰りに鴛(おしどり)の雄を捕まえ餌袋に入れて帰った。その夜、夢に美しい女房が現れ、夫を殺したと嘆いた。そのようなことはしていないと否定したが、女房は和歌を詠んでふっと立ち上がった。それを見ると鴛の雌であった。驚いて哀れに思っていると朝になり、昨日の雄と嘴を食い合って死んでいる雌がいた。これを見て発心し出家した。
この話は栃木県佐野市に伝わり、おしどり塚というのもあります。同種の話は各地にもあり、殺生を悔いて発心、つまり仏道に志すことを勧めるものです。生き物は食料として必要であり、また、殺生を生業(なりわい)とする人も必要。そのため、何が何でも殺生はいけないとなると、動物だけでなく魚介類、はては植物も食べることはできず、人間は生きることができません。そのため、必要最低限の範囲での殺生は行うものの、食事の時に「いただきます」といって肉や穀物などに常に感謝をすることが習慣となっているわけです。
ちなみに、最近物議を醸した話として、テレビ番組でマナー講師と称する人が「「いただきます」ではなく「頂戴します」と言え」と乱暴な言い方で叱ったとのこと。件の番組は見ていませんが、「いただきます」も「頂戴します」も意味は同じで、「頂戴します」は敬語表現として「いただきます」よりも強いものですが、むしろ目上や貴人から品物をもらう場合にかしこまり、へりくだって言う時に使うので、自然界のものをこれから口にして自分の生命をつなぐものとなっていただく動植物に対して「頂戴します」はいささかおかしいのではないかと思いますし、批判の声が多かった理由の一つもそういうことだと思われます。
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