佛像圖彙341
【341】鬼宿(きしゅく)
[通釈]
二十三 鬼宿
通考に「興鬼(こうき)は五星。天の目である。視の明察、肝謀(かんぼう、はかりごと)を主る」と。
[解説]
鬼宿は、和名魂緒の星(たまおのほし)・魂讚星(たまほめぼし)。蟹(かに)座の中心に青白く見える星宿。二十八宿の一つで、南方朱雀七宿の第2宿。距星はかに座θ星。主体となる星官(星座)としての鬼は、かに座θ、η、γ、δの4つの星によって構成される。占いでは「万事進むに大吉」などとする。
[摂津名所図会より]54
六万体(ろくまんたい) 天王寺の郷中に形ばかりの石像がある。伝承にいう、聖徳太子が六万体の石地蔵を彫ってこの辺に置かれた、と。今も折々には田畑から堀り出されることがある。
毎年十二月十六日にはこの石仏に生鰯を供じ、顔に米の粉を塗り、笹に蜜柑と煎餅を付けて供養し、同日夕方には、藁火を焼いて煤で石仏を黒くし、「明年の明年の」と囃して踊る。これを道禄神祭という。恐らくは道祖神の火焼であろう。
神体は猿田彦命で、仏家にいう本地地蔵菩薩である。この節の二、三日以前より、里の童たちが縄を路に引いて往来の人をとどめ、「さをじゃさをじゃ、天王寺の作法じゃ、お太子さまの仰せじゃ」と言っては鳥目(銭)を請い、これをもって供物を調え、かの石地蔵に供す。
いつの頃より始まったものかは分からない。この祭を土地の人は「泥くじり祭」といい、勝鬘院の東のほとりを総じて六万体という地名を呼ぶはこの意味ではないだろうか。
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