佛像圖彙320
【320】亢宿(こうしゅく)
[通釈]
二 亢宿
通考に「亢は四星。天子の内廷である」と。
[解説]
亢宿は、現在のおとめ座の一部。晋書によると「天子の内朝。疾疫を主る」と。内朝は、宮中で天子がくつろぐ宮殿。 燕朝(えんちょう)。内廷。
湖北省隨州の曽公乙墓(そうこういつぼ)から出土した漆塗りの箱には中国最古の二十八宿図が描かれていた(下図)。また『楚辞(そじ)』の「天問」にも「角宿未旦、曜靈(太陽のこと)安蔵」とあるので、既に先秦の頃には確立していた物と思われる。
この図について、小沢賢二氏は『中国天文学研究』のなかで次のように述べている。
「この画は外箱の中心に篆書された「斗(北斗)」字があり、その右側(東方を示す)には「龍」、
左側(西方を示す)には「麒麟」が描かれている。
さらに中心の北斗の周囲には、「角」より「車(軫)」までの都合「二十八宿」に相当する名が時計回りに配列されているが、起点である「角」の前が空白であることから、その動きは反時計回りであることを明示している。
但し、奇妙なことに「星宿」の筆頭である「角宿」(12時の方角)の位置に「龍」の尾鰭があり、
「龍」の頭部は反対の方向(6時の方角)にある。
そして「龍」の頭部より前に(同じく6時の方角)に「麟麟」の尾があり、「麒麟」(左側)の頭部は「龍」(右側)の尾鰭と同じ高さ(12時の方角)となっている。
つまりこの画の「龍」や「麟麟」は「北斗七星」をコンパスの中心にして頭部からではなく最後尾から反時計回りに動いていることを示唆しており、これによって「角」とは必ずしも「龍」の角(つの)を表したものでないことが理解できる。」
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