佛像圖彙302


【302】諸天・明星(みょうじょう) 


 [通釈] 

明星 梵字は形が崩れていて不明 

明星とは、月はすでに隠れ、日はまだ現れぬ日夜の中間に出ること。「明暗不二、迷悟一如」の全てを表す。されば、二字合三といって明の字は日月を並べることから、明星の二字は三光を備えるのである。 


[解説] 

 明星は、金星のこと。中国では太白星とも。法華経序品第一には三光天子の一つとされる(あとの2つは日輪(日天子)と月輪(月天子))。

  迷悟一如(めいごいちにょ)は、迷いも悟りも本来は一つであるということ。明星(金星)の現れ方がちょうど迷いの夜と悟りの日中の中間にあることから、それになぞらえたものである。「動中の静」「定慧不二」など、仏教においていろいろ説かれているようだが、訳者自身まだこれについては理解不足であることもあり、これ以上は立ち入らないことにするが、紙一重という言葉もあるように、正反対、対照的に見えるものは実は殆ど差はなく、表裏一体をなすが、しかも紙一枚しかないような差が実は大変に大きなものである、といったことはどこかで聞いた気がする。 


[摂津名所図会より]18 

大源山諸仏護念院大念仏寺(たいげんざんしよぶつごねんいんだいねんぶつじ))


 平野郷にあり。融通大念仏宗の本寺。本尊は天得如来で、これは永久五年丁酉五月十五日、大原良忍上人感得の十一尊曼荼羅である。脇士は、左が地蔵・右が毘沙門。脇壇は、開山良忍上人像・中祖法明上人像・将軍家御代々神牌・融通無碍塔・当寺代々牌・常念仏開闢舜空上人像。 

不退場 本堂の奥にあり、阿弥陀仏を安置する。 

斎堂 文殊を安置。

観音堂 本堂の艮(うしとら、北東)にあり。扁額は「円通殿」。 

転輪蔵 本堂の左にあり。一切経を蔵(おさ)める。 

鎮守 八幡宮を祭る。本堂の北にあり。 

累世塔 開山良忍上人より当寺四十七世忍通上人までの廟塔。 

石表 門前にあり。銘に日く「公府令旨、酒肉五幸、円内に入るを許さず」云々。 

※融通念仏宗総本山、諸仏護念院大源山大念仏寺は、俗に亀鉦寺とも称する。当寺のはじめは、坂上氏の菩提所修楽寺の別院であったが、大治2年(1127)開祖聖応大師(良忍上人)が鳥羽上皇の勅願によって新しく一寺を建立した。第7世法明上人は大いに寺門を興したが、千早赤阪の戦・大阪の陣等の兵火に遇い堂宇・什宝等を失った。その後、第36世道和上人がこれを再興し、第43世舜空上人は願を発して寛文7年(1667)方20間の大堂を建立した。さらに、元禄年間地元徳田家より第46世大通上人が出るに及んで、諸堂を建立し什宝を整備し、一山の法儀用具を完備し輪奐の美を極めるに至った。しかし、明治31年出火し、大堂以下多数の堂宇を失い、現在の大堂は昭和13年第59世戒全大僧正のとき竣工したもの。文化財としては、国宝「毛詩鄭箋残巻」・重要文化財「融通念仏縁起」等が保存されている。  

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