佛像圖彙291
【291】十羅刹・曲歯(こくし)
[通釈]
十羅刹の三・曲歯 梵字はバン
西方の阿弥陀仏が本地。秘法も同じ。
正法華に施積と名づく。
[解説]
曲歯は、元は曲がった牙を持つ鬼神。手に持っているのは花を盛った華皿。本地仏は阿弥陀如来。
一般に「曲歯」は「きょくし」と発音しているが、本書では「こくし」と仮名が振ってある。
「曲」は現在はどの熟語もすべて「きょく」(漢音)で固まっているが、儒家のテキストで我が国でも古くから大いに読まれてきた『礼記(らいき)』の冒頭に「曲礼」という篇がある。これも今は「きょくらい」としか読まないが、平安時代頃までは「こくらい」と読んでいたという。「こく」は呉音で、仏典を中心にもともと盛んに使われた音。「黒歯」も江戸時代にはなおも呉音読みが行われていたのかもしれない。
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