佛像圖彙266


【266】金財童子(こんざいどうじ) 


 [通釈] 

第四 金財童子 梵字はキリーク 

又召請童子と名づく。 

刀印 

本地は薬師如來 


[解説] 

 金財童子は召請童子ともいい、本地を薬師如来とし、手に秤の糸と秤量を執り、徳と罪、財の価を司る。 


 [雑記] 「百年後の仏教」 

【38】高野山大学教敎授 長谷部隆諦(明治43年に河口慧海を頼ってインドに留学し、ベナレスの「菩提樹軒」やダージリンの「ラッサ・ビラ」で3年間、慧海と共同生活をした。大正から昭和初期にかけて高野山大学で梵語を教授。『理趣経』の英訳にも励んだ。2度目のインド仏跡巡拝に出たその帰路、風邪から肺炎を引き起こし、プネーの国立病院で急逝した。享年50。墓は、長谷部が一時住職を務めた京都の神護寺にある) 

「アインスタインのやうな優秀なる研究家が時々出て來て種々なる方面に新設を立てたり、發見もしたりして今後の科學は、愈々(いよいよ)益々進展して行くが、要するに電子説の確證と、其れを自由自在に應用すると云ふ事が何と言つても、今後數十百年後の世界に於ける豫定の大事業で有る。果して此れが眞實で有るとすれば、必ず其れに伴うて人類の生活……經濟界も道徳界も千能萬状に變動して、結局今日より一層神經質に成つて來る。換言すれば人類の感受性が益々強烈に成つて來るから、其の樣な時代に最も適當した宗敎は、今日でもさうであるが、三昧の境に在つて加持感應の妙用に依り、即身に成佛するといふ眞言密敎がいや榮えに榮ゑて、愈々(いよいよ)其眞價を發揮する事は疑ひ無き所で有る。」

  アインシュタインの研究から開発、実用された無辜の民を大勢殺傷する破壊兵器原子爆弾による攻撃を知れば、長谷部師の回答はもっと強い表現になったと思われます。科学の進展により人類の生活は「一層神經質に成つて來る」というのも、科学に完全に支配され振り回されている(停電騒動もそう)現状をみれば、予言しているとさえいえます。

  師は、こういう時代にこそ真価を発揮することができる、つまり科学の支配から救うことができるのは真言密教であると明言している。真言宗は開祖空海が科学者つまり理系の人に分類できるほど仏教を宇宙論からとらえ、曼荼羅によって表現したように、科学と信仰(人としての在り方)を融合させようとした。だからこそ、他宗派よりも科学万能、科学崇拝がひどくなった時代には真言宗がそれを中和させる役目が果たせる可能性がある、そいういうことでしょうか。  

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