佛像圖彙265
【265】筆硯童子(ひっけんどうじ)
[通釈] 第三 筆硯童子 梵字はタラーク
又香精童子と名づく。
普供養印
本地は金剛手菩薩
[解説]
弁才十六童子の第三、筆硯童子。香精童子ともいい、本地を金剛手菩薩とし、手に知恵と知識を司る筆と硯を持っている。学問の大切さを示しているようにも見える。
[雑記] 「百年後の仏教」
【38】木村鷹太郎(きむらたかたろう 明治・大正期に活動した歴史学者、哲学者、言語学者、思想家、翻訳家。独自の歴史学説「新史学」の提唱者として知られる。愛媛宇和島出身)
「佛敎は印度に起源したものに非ず。釋迦は印度に生れた者に非ず――とのことに氣付かぬ時は、先づ學問上佛敎は馬鹿らしいものとなる。若し夫れ「印度妄着」主義を脱して全世界的に佛敎を研究し、説明することにならば、從つて全世界的大運動が起り、佛敎は世界統一的の宗敎となるであらう。」
釈迦は一般に北インド出身となっていますが、正確には今のネパールです。釈迦が出身地のネパールに戻り、涅槃に入られたのも、最期を懐かしの故郷でという純粋な気持ちがあったからでしょう。このことから、インド人ではない釈迦の教えの仏教はインド起源ではないという人も古来よりいますが、学者的態度としては事実は事実として踏まえることを主張するのは当然です。また、インドをことさら崇め執着する主義、態度も、仏教を世界的に広め普遍的なものとするには、却って足かせとなることも。木村氏は、釈迦や仏教を世界的に研究し説明するような高いものにすれば、世界に等しく受け入れられる宗教となるだろうとして、インドの釈迦、インドの仏教といった捉え方からの脱却を提唱しています。
ちなみに、インドの仏教徒というのは微々たるもので、外務省のホームページ「インド基礎データ」では
ヒンドゥー教徒79.8%
イスラム教徒14.2%
キリスト教徒2.3%
シク教徒1.7%
仏教徒0.7%
ジャイナ教徒0.4%
(2011年国勢調査)
となっており、お世辞にもインドは仏教国とか仏教はインドと言える状況にはありません。つまり、仏教はあくまで仏陀の教えであり、聖人から国境や人種を越えた普遍的なものであって、インドにこだわる必要はないということです。
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