佛像圖彙215

【215】稲荷大明神〔いなりだいみょうじん〕

[通釈]

 稲荷大明神 梵字はキリーク 二十二日 山州(山城)の紀伊の郡に鎮座。 大同年間、弘法大師東寺創立の時に門前に来てお姿を現された。 

 [解説] 

 稲荷大明神は、伏見稲荷山に鎮座するが、稲荷信仰の盛況ぶりから全国四万余りの総本社。屋敷神の祠を含めると全国最大の末社数を誇る。秦氏によって祀られたのが淵源。 

 元々は農耕神であったが、後には鍛冶等の工業、或いは商売繁盛の商業の神へと発展した。 

 空海との結び付きによって真言宗にも取り入れられ全国に広まる事に。密教では荼枳尼天と習合し曹洞宗等でも祀られる様になった。 

 初めて祀られたのが和銅年間の二月の最初の午の日とされ、この日を初午(はつうま)と唱え、稲荷神の最大の祭日となる。伏見稲荷では祭礼の時神輿が東寺門前まで行き、東寺の管長自らが出迎え読経する。 

 お稲荷さんといえばお狐さま。しかし、狐はあくまでも神使であり稲荷神ではない。何故狐が神使となったか、一説には農業に害をなす鼠を捕食し、毛皮の色が実った稲の色である上に、ふさふさした尾が実った稲穂を連想させるからだともいう。 

余説 我が家の屋敷神も稲荷神であり、伝承によると大猷院殿(3代家光公)上洛のみぎりに扈従した先祖が勧請した由(真僞の程は不明。祖母笑って曰く「どうせ箔付けだろう」と)。今でも初午の時には赤飯を三升蒸かして知友にも配っている。〔冢堀庵〕 

余説② 小学生の頃こっくりさんが流行った時、私が行くとぴたりと止まって仕舞う。又々祖母曰く「うちのお稲荷さんはご神徳が高いから恐れて逃げ出すのさ」と。中々面白い言である。〔同上〕

 [雑記] 

 お稲荷さんの神社の一つ、豊川稲荷(愛知県)。奉納されたお狐さんの数に圧倒されます。都内豪徳寺は招き猫の像、人形が壮観。  

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