佛像圖彙214
【214】施無畏菩薩(せむいぼさつ)
[通釈]
施無畏菩薩 梵字はラ 二十二日 内證観世音菩薩である。
[注]
内證 内側から悟る事。ここでは何事も畏れぬ事を示す。
[解説]
施無畏菩薩は、『法華経』普門品に「是の観世音菩薩摩訶薩は怖畏急難の中に於て能く無畏を施す。是の故に此の娑婆世界は皆之(これ)を号して施無畏者と為す」とあるのに基づくと思われる。
施無畏とは、衆生の諸々の畏怖の元や対象を取り除いて安心させること。これも布施の一種。布施というと、お寺に金品を納める一方的な行為のように思われ、このために一部では「お布施を納めてもただお経をあげるだけ、なんの功徳もない」といった批判もあり、年々この感情を持つ人が増えているとか。これはいわゆる「葬式仏教」化したことも一因のようだが、布施の意味がよく理解されていないことが大きいように思われる。誰しも困っている時は目に見える形ではっきりした解決(利益)が欲しいものだが、教えを説く宗教者が直接助けてくれるものではない。宗教を騙った者や組織には現世利益をうたい、布施を納めれば確実に救われるといって勧誘したり入信させて家族から引き離し、いろいろな問題を起して記事にもなっているが、施無畏菩薩が実在するか否かではなく、信じて祈ることで心を安んじることができる、落ち着かせることができるように自分をしっかり持つことが肝要なのだと思う。
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