佛像圖彙212

【212】無尽意菩薩(むじんいぼさつ)


[通釈]

無尽意菩薩 梵字はア 二十一日

大品(般若經)に「空は即ち無尽であることを明らかにする」とある。

大集(經)に「八十の無尽門を明らかにする」とある。


[注]

大品 大品般若経。前出。

大集 大集経。正式には大方等大集経という。現行のは北涼の曇無讖(どんむせん=下肖像)の訳に、唐の僧就が隋の那連  提耶舎の月蔵分と日蔵分を加えたもの。曇無讖[385〜433]は中インドから北中国の北涼に来た僧。「大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)」「金光明経」「仏所行讃」などを漢訳。王の政治顧問ともなったが、刺客に殺害された。 どんむしん。


無尽 尽きることが無い。永遠。般若心経にある「般若波羅蜜」(はんにゃはらみつ)が無尽という意味とされる。また、笈多共行矩等訳『摂大乗論釈』には「無尽は、すなわちこれ涅槃」(正蔵三一・三〇六下)とあり、大乗では無尽を涅槃ととらえている。

月蔵分と日蔵分 ともに大集経の分(篇)の名。日蔵分は第34~45巻、月蔵分は第46~56巻。

[解説]

無尽意菩薩は、定慧金剛、無盡金剛菩薩とも。80種類の無尽の法門を説く。法門とは、仏法の教え。衆生が仏法に入る門。仏門。


[雑記]

 図の座り方を結跏趺坐(けっかふざ)といい、仏教のおもに坐禅をする時、および瞑想の時にこのような座り方をします。二種類あり、吉祥坐は、先に左足を右のももの上に置き、次に右足を左のももの上に置く坐法で、仏の説法時の座り方。降魔坐は、右足を左のももの上に置き、左足を右のももの上に置く坐法で、天台や禅はこの坐法。顕教(けんぎょう)の仏菩薩(ぶつぼさつ)像の坐相は降魔坐で、吉祥坐は密教の法儀とされる。片足だけをももの上に置くのを半跏趺坐(はんかふざ)(半跏坐、賢坐(けんざ))というそうです。

 若くて体が柔らかいうちからこの組み方に慣れないと、年齢を重ねて体が固くなってからでは無理です。先日、あるお寺の動画でご住職がこの座り方の説明をされて、結跏趺坐は正座よりも安定して全然グラグラしないとのこと。両足とお尻の三点がしっかり地面につくことで固定されるというわけです。正座のように膝が痛くなることもなく、自然に背筋も伸びることから、長時間座るにはむしろこのほうがよいとも。

 総じてお坊さんは昔から長命な方が少なくないですが、毎日お経を読むことで深く呼吸をし、姿勢よく座ることで血流がよくなることから、自律神経が整い、免疫力が高まるといったこともあるように思われます。雑念を払うことはストレスも軽減されるわけですし。

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