佛像圖彙130

【130】六地蔵・預天賀地蔵(ろくじぞう・よてんがじぞう)


[通釈]

預天賀地藏 梵字はカ

左に如意珠を持ち、右手は説法の印を結ぶ。

諸天人を濟度する。


[解説]

 続いては六地蔵。六道を済度し、尊名には異説も多い。六道とは、人間が善悪の業因(ごういん)によって行きめぐる六つの世界。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上。六趣、六界とも。

 地蔵は地蔵菩薩の略。釈迦の死後、56億7千万年後に弥勒仏が出現するまでの間、この世にあって衆生を教化(きょうけ)・救済する菩薩。『地蔵菩薩本願経』に、地蔵菩薩は修行が完成して仏(狭義の仏)になることができるのに、わざわざ延期して人々が迷い苦しむ世界にとどまり、災いと苦しみを除くことを願いとしたと説かれている。

寺院で本尊として安置されるものよりも、古来より路傍の石仏などとして安置されることが多い身近な仏さまとして、観音さまとともにとても人気がある。「お地蔵さん」という親しみをこめた言い方にも人々の気持ちがよく表れているといえよう。インドではあまり重視されず、日本で特に人気があるという。

大定智悲地蔵(金剛願地蔵)……地獄道

大徳清浄地蔵(金剛宝地蔵)……餓鬼道

大光明地蔵 (金剛悲地蔵)……畜生道

清浄無垢地蔵(金剛幢地蔵)……修羅道

大清浄地蔵 (放光地蔵)………人間道

大堅固地蔵 (預天賀地蔵)……天道

 まずは預天賀地蔵。伏息地藏、大堅固地藏ともいう。六道のうち最も高い所にある天道において教化する。


[雑記]


 今月から、日蓮宗の日蓮像が冬仕様になりました。日蓮宗は朝勤や法要、更には檀家などでの法事などの動画配信が積極的なようで、こういった変化もよくわかります。

 頭の上に布団のようなものを載せて、これはどういう意味があるのかと本訳注のご協力を仰いでいる冢堀庵先生に伺ったところ、「これは綿帽子で、小松原法難に依ります。小松原で傷を負った日蓮に老婆が真綿を差し出し傷を抑える様にと。此れに由って十一月から綿帽子を被せる事に」ということだそうです。

 日蓮宗では偶像の崇拝をしないとのことで、代わりにお題目などを文字で表わした曼荼羅を正面に掲げるとのこと。独特の書体で、俗に「ひげ題目」というそうですが、「南無妙法蓮華経」の「法」の字から光を放つ様子を表わしているのだとか。また、このお題目が宗祖日蓮大菩薩そのものであるとも。

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