佛像圖彙105

【105】施楽観音(せらくかんおん)


[通釈]

施楽観音

如日虚空住(にょーにちこーくーじゅう)


[注]

如日虚空住 同じく普門品第二十五偈の「念被觀音力、如日虚空住」に基づく。観音の功德の一つ「抜苦与楽」(ばっくよらく。衆生の苦しみを取り除いて楽を与えること。仏教で慈悲のはたらきをいうことば)からすると此の偈文よりも「衆生被困厄 無量苦逼身 觀音妙智力 能救世間苦」(しゅーじょうひーこんにゃく むーりょうくーひっしん かんのんみょーちーりき のうぐーせーけんくー)の方が相応しいのではないか。(以上、冢堀庵)


[解説]

 施楽観音は、頭部に円と蓮弁(れんべん)の文様を持つ宝冠を載せ、頭髪を丸く結(ゆ)い上げている。額に白毫(びゃくごう)がある。右手を頬にあて、左手は膝の上に置き、膝の施文(せもん)から跪坐(きざ)などの坐り方が考えられる。岩上に坐り蓮華を見る姿で、須弥山(しゅみせん)から落とされても、観音の力を念じれば、太陽が宇宙にあるように、空に留まることができると説く。

 いわゆる観音経の一句だけが説明文に代えて添えられているが、観音経の一句一句がさまざまに変化した観音さまを表わしているとともに、これだけでも昔の人たちにはすぐに意味を悟るほど観音経ひいては仏教を理解し、身近なものであったからこそこれだけの説明でも十分なのだろう。


[雑記]

 京都の店の広告のつづき。


 袈裟など、お坊さんの着用する衣の店。東京と違い、京都は昔の地名が今も現役なのが多く、今もこれらの店がそこにあるのではとさえ思わせます。もちろん、現存しているのはごく一部、所在地が変わっている店もあり、地名が昔と今とではズレている所もあるそうですが。

過去の出来事

過去の本日の朝廷や江戸幕府の人事一覧、その他の出来事を紹介します。ほかに昔に関する雑記など。