佛像圖彙46

【46】金剛薩埵(こんごうさった)

[通釈]

十六大菩薩

金剛薩埵 梵字はアク

一切の如来菩提心・金剛薩埵等、尽虚空遍法界は同一の体性にして、金剛界に生まれる一切の諸仏に帰依し奉る。

東方の四尊(金剛薩睡 金剛愛 金剛王 金剛喜)の一。


[注]

南無 ここでは帰依し奉るの意。

金剛 原義は金属の中で最も硬い物。転じて、仏道を修めた者の迷いの無い堅固な境地。


[解説]

 十六大菩薩は、金剛界の四仏に、それぞれ近しい仏様を4人ずつ配した16人の仏様のこと。全て「金剛」が尊名についている。

 ●阿閃如来(東方)

  金剛薩睡 金剛愛 金剛王 金剛喜

 ●無量寿如来(西方)

  金剛法 金剛因 金剛利 金剛語

 ●宝生如来(南方)

金剛宝 金剛幢 金剛光 金剛咲

 ●不空成就如来(北方)

金剛業 金剛牙 金剛護 金剛拳

 金剛薩埵は金剛手菩薩ともいい、普賢菩薩と同じともいわれる。十六大菩薩の筆頭。左手に鈴、右手は金剛杵(こんごうしょ)を持つ。

 金剛杵は仏語。もと古代インドの武器。密教では煩悩を打破する菩提心の表象として用いる。真鍮、銅、鉄などでつくり、手に握れるほどの大きさで、形は細長く手杵(てぎね)に似ている。両端の分かれていないのを独鈷(とっこ)、分かれたものはその数により、三鈷、五鈷と称する。それぞれ一真如・三密三身・五智五仏の義を表わす。また、塔・宝珠・鈴などをつけたものもある。

 真言宗寺院必須の空海の尊像は金剛薩埵と同じく三鈷の金剛杵を持つが、これは高野山に金剛峯寺を開くことになったゆかりの品である。


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