和俗童子訓99
貝原益軒著『和俗童子訓』99
唐流には、筆法のならひ、猶もこれあり。予、かつて諸書の内をかんがへ、からの筆法の諸説をあつめて一書をあらはせり。心画軌範と名づく一冊あり。和流には、筆法の伝授とて、字ごとに各々むつかしきならひあり。唐流には、すべての筆法の習はあれど、和流の如く、かかはりたる法はこれなし。
【通釈】
唐(から)流には、筆法の習い方が他にもある。予、かつて諸書を博覧し、唐の筆法の諸説を集めて一書にまとめたものを著わした。「心画軌範」と名づけた一書である。和流には、筆法の伝授として、字ごとに各々難しい決まりがある。唐流には、基本となる筆法の決まりはあるが、和流のような細事に関わる決まりはない。
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