南留別志2

南留別志 2

一 朝の字を、或(あるい)はあさ、或はともとよむ事は、或は公武にてかはり、或は上下にて異なりとやらんいふは、僻事(ひがごと)なるべし。義朝(よしとも)の子朝長(ともなが)あり。おき所上下ありともかはるまじ。公家、武家といふ事は、鎌倉以後の事なり。


[解説]前条に続き、名乗の読みについて。朝という字は、公家と武家、あるいは置く位置により「あさ」「とも」と読み方が異なるという説があったらしいが、徂徠はそれを意味のない妄説として退けている。源義朝、子の朝長は、それぞれ朝の字の位置が異なるが、どちらも「とも」であり、置き所で変わることはないと例を示す。公家と武家で異なる読みをするのは鎌倉時代以降のことであるとも。

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