斉諧俗談74
斉諧俗談 74
〇豆蔵[まめぞう]
貞享[じょうきょう]、元禄の頃、摂津の国に一人の修行僧がいた。名を豆蔵という。町に出ては重い入れ物を捧げては銭を乞うた。また一人の小児をはしごに登らせ、自分は楊枝をくわえ、はしごを楊枝の先に立てて立ったり座ったり思うがままの動作をした。小児も馴れて恐がることがなかった。また、長い鎗を鼻の先へさかさまに立てたり、わらしべを一筋、鼻の先へ立てて、倒れることがなかった。ただ錬磨するだけであるという。また、別にある人がいて、地面に寝て腹の上に大きな臼を置き、杵で中の餅をつかせたり、腹の上に踏み台を置き、二人の人がこの上に乗って踊ったという。これらは請身[うけみ]というものの類であろうかという。
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