嵩山房扱いの『孝経小解』

嵩山房扱いの『孝経小解』

東隅書生

即売会で、ばら売りの『孝経小解』二冊。一冊五百円。

虫食いもあって、捨て値で扱われていたものである。右は序の首尾を掲げた。本文部分は左に掲載する。封面は三分割式。

『孝経』の経文は太く掲げて、解はルビ付の漢字仮名交じりで書くもので、仮名読み程度の教養で読解可能な内容とした。

そこが想定される読者の教養レベルで、その意図が紙面の形態に表れているのである。活字翻刻しては見えてこない。

下は奥付である。五軒の本屋の名が見える。京・大坂・江戸。

だが、この本の扱いは嵩山房こと小林新兵衛である。封面に目を戻していただきたい。三分割形式の左側に見える本屋の名が「嵩山房」である。右の奥付には出てこない本屋である。

この本は奥付外の本屋から発行されたものである。奥付の次に蔵版目録が附録されている。これが小林新兵衛の嵩山房の目録なのであるから、今回獲得のこの『孝経小解』が嵩山房扱いであったことは間違いなかろう。右の五書肆も扱ったものだろうから、それぞれの扱いの同書があってもよいだろう。

『孝経小解』は目録上段の十一番目に確かに見えるものだ。

以上。『東隅随筆随筆』570号より著者了解のもと転載。

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