斉諧俗談22
斉諧俗談 22
〇久丸神事[ひさまるのじんじ]
参河(三河)の国神戸村[かんべむら]という所に、久丸大明神の社がある。毎年正月初めの申酉(さる・とり)の両日に祭礼が行われる。この日は生土[うぶすな]七郷の人は家の戸を閉め切って出入りをしないという。また摂津の国西の宮の恵比須にも正月十日に祭礼があり、村民は九日の朝より夜に至るまで、戸を閉ざして出入りをしない。これを居籠[いごもり]という。
[語釈]
神戸村 かつて愛知県渥美郡に存在した村。現在の田原市の一部に該当する。渥美半島にあり、太平洋に面する。村名は、この地域がかつて神戸(伊勢神宮領)であったことから名づけられたという。江戸時代末期、この地域は田原藩領、寺社領などが混在した。
久丸大明神 創建は延宝6年(1678年)10月で、玉柱屋根姫命を祀り、鍬山神社と称したのが始まりという。明治42年1月20日、久丸神社と改称。祭神は玉柱屋比女命(たまはしらやひめのみこと)、伊弉諾命(いざなぎのみこと)、田心姫命(たこりびめのみこと)、湍津姫命(たぎつひめのみこと)、天穂日命(あまのほひのみこと)、天津彦根命(あまつひこねのみこと)、熊野大隅命(くまのおおすみのみこと)、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、仁徳天皇等で、例祭日は10月5日。
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