【諸乗法数】8-6
【諸乗法数】8-6
八熱獄
等活
黑繩
衆合
叫喚
大叫(喚)
炎熱
極熱
阿鼻
註 いわゆる八大地獄のこと。別に八大寒地獄もある。『倶舎論』に見える。
等活(とうかつ)地獄
殺生。いたずらに生き物の命を断つ者がこの地獄に落ち、ケラ・アリ・蚊(カ)・蝱(アブ)の小虫を殺した者も、懺悔しなければ必ずこの地獄に落ちると説かれ、生前争いが好きだった者や反乱で死んだ者もここに落ちると言われている。この地獄における衆人の寿命は500歳。ただし、通常の500歳ではなく、人間界の50年を第一四天王(四大王衆天)の一日一夜とした場合の500年が等活地獄の一日一夜であり、それが500年にわたって続くので、人間界の時間に換算すると1兆6653億1250万年にわたって苦しみを受けることになる(1年を365日とした場合の計算。以下も同様)。
黒縄(こくじょう)地獄
殺生、盗み。殺生のうえに偸盗(ちゅうとう)といって盗みを重ねた者が、この地獄に堕ちると説かれている。衆人の寿命は1000歳で、人間界の時間では13兆3225億年に当たる。
衆合(しゅごう、しゅうごう)地獄
殺生、盗み、邪淫。堆圧地獄の別名を持つ。先の二つに加えて淫らな行いを繰り返した者が落ちる。寿命は2000歳。人間界の時間で106兆5800億年。
叫喚(きょうかん)地獄
殺生、盗み、邪淫、飲酒。「飲酒」という項目があるが、単に酒を飲んだり売買した者は、この地獄には堕ちない。酒に毒を入れて人殺しをしたり、他人に酒を飲ませて悪事を働くように仕向けたりすることなどが叫喚地獄に堕ちる条件になる。寿命は4000歳。人間界の時間で852兆6400億年。
大叫喚(だいきょうかん)地獄
殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語(うそ)。叫喚地獄の下に位置し、その10倍の苦を受ける。叫喚地獄で使われる鍋や釜より大きな物が使われ、更に大きな苦を受け叫び喚(な)く。寿命は8000歳。人間界の時間で6821兆1200億年。
焦熱(しょうねつ)地獄 / 炎熱(えんねつ)地獄
殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語、邪見(仏教の教えとは相容れない考えを説き、また実践する)。大叫喚地獄の下に位置し、その10倍の苦を受ける。常に極熱の火で何度もあぶられ焼かれ焦がされ、その苦しみがずっと続く。寿命は1万6000歳。人間界の時間で5京4568兆9600億年。
大焦熱(だいしょうねつ)地獄 / 大炎熱(だいえんねつ)地獄 / 極熱(ごくねつ)
殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語、邪見、犯持戒人(尼僧・童女などへの強姦)。
焦熱地獄の下に位置し、前の6つの地獄の一切の諸苦に10倍して重く受ける。また更なる極熱で焼かれて焦げる。その炎は最大で高さ500由旬、横幅200由旬あるという。罪人の苦しみの声は地獄から3000由旬離れた場所でも聞こえる。この地獄に落ちる罪人は、死の三日前から中有(転生待ち)の段階にも地獄と同じ苦しみを受ける。寿命は、3万2000歳。人間界の時間で43京6551兆6800億年。
阿鼻(あび)地獄 / 無間(むけん)地獄
殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語、邪見、犯持戒人、父母・阿羅漢(聖者)殺害。地獄の最下層に位置する。大きさは前の7つの地獄よりも大きく、縦横高さそれぞれ2万由旬(8万由旬とする説もある)。最下層ゆえ、この地獄に到達するには、真っ逆さまに落ち続けて2000年かかるという。前の七大地獄並びに別処の一切の諸苦を以て一分として、大阿鼻地獄の苦、1000倍もあるという。剣樹、刀山、湯などの苦しみを絶え間(寸分・刹那)なく受ける。背丈が4由旬、64の目を持ち火を吐く奇怪な鬼がいる。舌を抜き出されて100本の釘を打たれ、毒や火を吐く虫や大蛇に責めさいなまれ、熱鉄の山を上り下りさせられる。これまでの7つの地獄でさえ、この無間地獄に比べれば夢のような幸福であるという。寿命は6万4000歳。人間界の時間で349京2413兆4400億年。
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