政談439
【荻生徂徠『政談』】439
●弓馬書籍の事
軍法(兵法)ならびに弓馬・剣術・鉄炮等の書、家々の秘伝、その流派の人々が後から後から付け加えを重ねた結果、今では元のものとは別物になってしまった。今後もまたいろいろ付け加えをして、埒もないものとなろう。昔、漢の高祖が韓信や張良らに命じて、兵書を調べさせたことがあった。今、各家々の秘伝の書を集めて吟味を加えた上で、御蔵へ一部ずつ写本を納めて原本に幕府の割り印を捺して返却したならば、各家々が末代まで「上様の御吟味なされたものである」として誉れとすることであろう。こうすることで、余計な付け足しや改変もできなくなる。武芸の書は武士にとって大切にすべきものであるから、このようにしたいものである。 (この項以上)
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