封面について[4]

封面について[4]

『淡水庵詩鈔』(たんすいあんししょう)の封面は、中央が書名で大きく作り、かつ隷書を用いる。左右は蔵版元が右。文字は小さいが書名より一画上になっている(というより書名を下げたか)。左は刊行年を示している。封面の形式は三分割をとるが、そこに書かれる内容の左右は、前述の事例と異なることが知れる。


「曼殊王府」(まんじゅおうふ)に対して敬意を示し、書名を一画下げたと見るべきだろう。だが書体は中央を第一とし、左右はそれに次ぐ書体を選んでいる。そこには当然、版下揮毫時に意識した書体使用の選択が行われたのである。

といった目で和刻本の封面を見ていくと、そこに書体ヒエラルキーが意識されているように見えてくるのである。もちろん例外は幾らもある。だが多くの事例によって、意識された書体の選び方、文字の大きさで構成されている部分であると見られるが、どうだろう。(東隅書生識)

過去の出来事

過去の本日の朝廷や江戸幕府の人事一覧、その他の出来事を紹介します。ほかに昔に関する雑記など。