政談403

【荻生徂徠『政談』】403

(承前) さらに、御旗本が牢に入れられる事は、昔はなかったと承知している。罪があって御詮議の間は、軽い場合は親類に御預け、重い場合は大名に御預けと決まっていた。しかるに家宣公の御代の頃より御旗本の入牢が多くなった。これはいかがすべきか。御詮議がまだ決しないうちは罪名もまだ確定していないのだから、入牢はさせるべきではない。御旗本を身分低い者と同様に扱うのは、公儀にとって恥である。その者の親類にとっても恥がましいこと。恥がましい扱いをされて、それに慣れっこになると、恥を恥と思わぬようになる。人は扱い方によって良くも悪くもなるものなのに、御役人がそういうことに気が付かぬとはなんとも悲しいことである。

過去の出来事

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