政談362

【荻生徂徠『政談』】362

(承前) 東照宮の御目掛(おめかけ)七人衆というのがある。駿府より毎年御鷹狩のため東金(とうがね)へ御成りの時、七人衆も御供をする。女を一人も同行せず、馬で御供をするため、江戸にしばらく御滞留の際は、我が曾祖母のもとへ下女を借りに来たので、お貸しした次第。曾祖母も折々七人衆の部屋へ行き、そのまま泊まり、東照宮にもお会いしたと、父や祖母から聞いたものだ。この七人衆というのは三家の方々の御袋様で、重い身分の御方であった。当時はこのような状況であった。


[語釈]●東照宮の御目掛七人衆 家康が寵愛した七人の妾。諸説あるが、お亀(尾張義直の母)、お万(紀州頼宣・水戸頼房の母)、茶阿局、阿茶局、おかち、おなつ、お六の七人。

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