政談358
【荻生徂徠『政談』】358
(承前) 有職(ゆうそく)の輩が言う御所の御息所(みやすどころ)というのは宮栖所(みやすどころ=みやのすむところ)のことで、皇子が誕生すると、その母が御息所となることを言うのは時世にへつらい、ないことをでっち上げたとんでもないことである。元来、女御(にょうご)の次を御息所という。女御は弘徽殿(こきでん)の女御、何殿の女御などと言って、別に御殿を建てられる。御息所は別に御殿を建てられることはなく、天子の御休息所の中に部屋を置いたので、御息所と言う。皇子が誕生したら必ず御息所と言うわけではない。
[語釈]●有職の輩 公家・武家の儀式・慣習・作法に通じている人。 ●御息所 宮中に仕える女性で職名はなく、天皇の寵愛を受けて寝所に侍った者。
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