政談192
【荻生徂徠『政談』】192
(承前) 関東では装束を烏帽子・直垂(ひたたれ)までとし、これを十二階級に識別できるようにそれぞれ拵えておき、官位を示す装束は上洛した時にのみ用いるように定め、宰相・中将・少将・侍従・四品・諸大夫等の官位はあくまで表面上示すもので、勲階の方が大切で重いものであると分からせたならば、あとは人は習慣によって自然と従うようになるから、公家と武家の区別も明確となることでろう。総じて公儀の政務においては何事も朝廷が邪魔になり、将軍の思うようにできないことがいろいろあるようなので、このような区別を思いついた次第である。
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