政談190

【荻生徂徠『政談』】190

(承前) また、楽人(がくじん)・公家侍(くげざむらい)などの四位(しい)・五位、さらに関東では与えられていない法眼(ほうげん)・法橋(ほっきょう)は、昔から無官同様の待遇であり、公家と武家は別として、武家では御威勢のために無理に押し付けた面がある。勲階を定めたならば、それが根拠となることから、無理に与えて威信を保つといったこともなくなり、むしろこの方が得策である。高家などの侍従も、勲階を勲六等にしておけば、大名と同等となる一方、官位は高家が高くなり、俸禄は大名が多くなるから、一長一短となってよろしかろう。


[語釈]●法眼 僧侶の階級で第二位。一位は法印大和尚。昔の僧都(そうず)。四位に相当。 ●法橋 同じく僧侶の階級で第三位。法橋上人(ほっきょうしょうにん)。五位に相当。奈良県に五位堂という地名および駅名があるが、大伴金村の末裔、五位殿某に由来かとされ、官位にちなむものであることがわかる。


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