佛像圖彙574
【574】江州石山寺(ごうしゅういしやまでら)
[通釈]
三十三所内観音変像
江州石山寺
[解説]
こちらの本尊も岡寺と同様二臂の如意輪観音。 大本山石山寺(東寺真言宗)は西国十三番札所。天平年間に良辨によって開創された。元々は近江の山々から切り出した木材を奈良の都に運ぶ中継地点を統括する役所の様な機能を果たしていたと考えられている。
本尊は秘仏で三十三年に一度と天皇即位の時のみ開帳され、開帳の折は勅使下向。このため日本唯一の勅封本尊といわれる。兵火に依って全山焼失するという事が無かったので、建造物・仏像の他、聖経の類が数多く残っている。特に日本人唯一の三蔵法師霊仙の翻訳した大乗本生心地観経は霊仙の直筆とも考えられ、宣梵文・筆受等唐代の訳経の分担が解る資料として貴重。
なお、境内の庭園には霊三蔵を讃え偲ぶ石碑もある。 平安期以来紫式部を始め菅原孝標女(すかわらのたかすえのむすめ)など多くの才女が参籠している。
御詠歌は
後の世を願う心はかろくとも 仏の誓い重き石山
秘仏の公開を33年に一度とする所が多いが、これは観音が衆生を救うために三十三の姿に化身するということにちなむ由。
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