【諸乗法数】1-38

【諸乗法数】1-38 

一心約教有異　

小乘教假説　一心始教異熟賴耶　爲一心終始如來藏　爲一心頌教泯絶　染浄爲一心圓教　総説萬有爲一心 

註　一心とは全ての物の根源にある心。この文は『華嚴一乘教義』(唐の法藏の撰)分濟章巻二の一節。此の引用文には誤りが多く「熟賴耶」⇒「阿頼耶」「一心終始」⇒「一心就是」が正しい。 

疏　一心は仏教において重要な言葉（概念）のようで、検索すると学術論文もあるほど。真如と同義で、煩悩によって我々の心は絶えず揺れ動くが、その元にあるものは動かず不変であるという。無意識、潜在下にある本当の心とでもいえるものだろう。一心不乱という語が通俗的ながらわかりやすい。悟りを得るにはこの状態になることが絶対不可欠だが、自分で自分の心を見たり知る事は果たして可能かどうか。他人の心さえ見ることはできないのに、客観視できない自分を省察するのは更に難しいように思う。荒行などをして何か分かったような気がするのも、あくまで気持ちであって、釈尊が否定した意味も荒行そのものよりも、なにかをしたことでその気になることの危うさを言ったのではないかと愚考する。