【諸乗法数】1-37

【諸乗法数】1-37 


一刹那 『華嚴經』に云う「一刹那中 即得往生」と。 

註 刹那は時間の單位。諸説あるが七十五分の一秒とも謂われる。極短い時間の事。『華嚴經』は巻二普賢行願品。臨終の瞬間に阿彌陀が現れて往生せしむるとある。但し此の前文には財産等は一切彼の世に持って行く事は出來ないと説く。 


一合相 『金剛若』に「是微塵衆實有者 則是一合相」と。 

註 世界は微塵の集合体であるとの義。『金剛若』は『金剛般若經』。「微塵衆實有者」の後に「佛則不説・・如來説」一合相の文が。長いので都合の良い所を切り取ったと思われる。 

疏 『金剛般若経』は、正式には『金剛般若波羅蜜経』。大乗仏教の般若経典の一つ。略して『金剛経』とも。その長さから「三百頌般若経」等とも呼ばれる。諸行無常を説いた節は、夢幻泡影、泡沫夢幻と抜粋され四字熟語化された。 


一解脱 『涅槃經』に云う「皆同一乘一解脱」と。

註 解脱は悟りの事。乘は教えの事。衆生を乘せて悟りに至らしめるの意。此の文は「一切衆生 同有佛性」の後に續く一文。此の方が文意が通り易い。 


※前々回、禅宗の不立文字について触れましたが、ちょうど臨済宗の僧侶の方の動画でこれについての説明があり、今も臨済宗の行僧は修行のうちは経典のみならず一切の書物を読んではならず、そのため師僧の説明や禅問答(これは現在はごく形式的なものになり、往時のように不意に難問を仕掛けられるといったことはない由)での質問が全く理解できず、決まった就寝時間(夜9時が一般的)に一度寝たふりをして、その後トイレにこもって経典や書物を開いて勉強するのが常ということです。その隠れた努力は師僧もわかっていて、それについて叱責されることはないそうです。あと、曹洞宗では不立文字についての実践、つまり書物を見てはいけないという決まりはないとのこと。両宗派は座禅での向きが反対であるのをはじめいろいろ違いがあり、混乱させられます。  

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