政談181
【荻生徂徠『政談』】181
(承前) 右のように衣服等の制度を定めるには、変わり目の際(きわ)や境目を明確にしなければならない。まず東照宮へ御報告が必要である。日光御社参を仰せ出され、二年三年前より、「御供廻りの装束・諸大名の参詣の装束も、このたびはかくの如くあるべし」と指示をし、しっかりと準備させて、それから直ちに平日に用いるようにさせたいものである。ただ、一同に上下(かみしも)を着用させることであるから、職人・商人らが例の癖を出し、不当な利益を得ようと企むから、その対策も必要である。
以上のように武家の制度を細かく立てることは、倹約のためであるのはもちろんだが、諸事に亘り改める事であるから、現在の困窮した世では、急に効果は出ないであろう。まず道中並びに城下において供廻りの数を減らし、諸大名には江戸詰めの家来を少なくして、銭を鋳造し、借貸の道を開き、旗本の諸士・家中の武士については取り敢えずそのままにし、諸事を簡易に取り捌くようにして、最初に町人・百姓と武家との区別をはっきりさせることである。
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