佛像圖彙497

【497】帝釈天王(たいしゃくてんおう) 


 [通釈] 

帝釈天王 梵字はイ― 

『了義燈』にいう「帝釈とは千眼という名のようなものである。但し実際に千の眼を持っているわけではなく、一時に千の法を辨ずる事が出来るからである。 


[注] 

了義燈 正しくは『成唯識論了義燈』。唐の慧沼(えしょう 650~714)が成唯識論に付けた注訳。慧沼は淄州大師と諡された学僧。慈恩大師基の弟子で、訳経に従事し、『成唯識論了義燈』など多くの注疏を著したことにより、法相宗の第二祖として仰がれた。 

 下の画像は興福寺蔵、絹本着色淄州大師像。重要文化財。通常は非公開。興福寺では忌日の12月11日に観禅院大御堂の内陣正面にこの像を掲げ、その徳を称える「淄州会」(ししゅうえ)を執行。

 [解説] 

 帝釈天は既出。天上界の王で東方を守る。天衆を率いて阿修羅を征服し、常に使臣を遣わして天下の様子を知らしめ、万民の善行を喜び、悪行を懲らしめ、大きな威徳を有する王で、須彌山(しゅみせん)の頂上の忉利天(とうりてん)の中央にある喜見城に住むとされる。  この図ては帝釈は千眼の意味があることを紹介している。

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