佛像圖彙441

【441】優填王(うてんおう) 


[通釈] 

優填王 

正しくは鄔陀衍那王という。唐では出受という。 

『造像功徳経』に「優陀延王は彫像の始めである」とある。 


[注] 

造像功徳経 唐の提雲般若の訳。二巻。 


[解説] 

 釈迦在世中の印度の王の一人。初めて仏像を造ったとされる。なお、仏像とは本来は釈迦仏のことで、その他大日如来や薬師如来など狭義の「仏」の像を指す。現在、一般的には菩薩をはじめ天部、明王、さらには鑑真和上像のような高僧の像なども仏像と称しており、半ば黙認状態であるが、正しくは釈迦や如来だけが仏像である。 

 京都嵯峨淸凉寺の木造釈迦如来立像(国宝=下画像)はこの王の造った像を摸刻した物といわれる。「三国伝来の釈迦像」「生身の釈迦」という。北宋時代の雍熙2年(985年)、仏師張延皎および張延襲の作。像高160.0cmで、伝承では赤栴檀というインドの香木で造られたとされるが、実際には魏氏桜桃という中国産のサクラ材で作られている。頭髪を縄目状に表現し、通肩(両肩を覆う)にまとった大衣に衣文線を同心円状に表すなど、当時の中国や日本の仏像とは異なった特色を示している。その様式は古代インドに源流をもつ中央アジア(西域)の仏像と共通性がみられる。本の像は宋の都の開封から北京に遷され法源寺だったかに安置されていたが、北辰事変の際に英仏の軍に焼き払われた由。酷いことをしたものである。      

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