佛像圖彙402

【402】日天(にってん) 


 [通釈] 

日天 梵字はア 

『廣雅』にいう「光霊と名づく」と。又光明・大明・陽烏ともいう。 

日御(にちぎょ)を義和という。 

『倶舎論』に「圓光は頗る宝珠に泥(なず)む」と。 


 [注] 

廣雅 こうが。中国の辞書の一つ。三国の張揖の撰。引用は日天ではなく「日」についての解説。 

日御 日(太陽)のこと。また、太陽の御者のこと。ここでは前者。 

義和 ぎわ。平安時代に日本にも伝わっていた中国古代の地理書『山海経(せんがいきょう)』に記載のある太陽の母神であり、炎帝に属し東夷人の先祖にあたる帝夋の妻。羲和が天照大御神を指しているとする説もある。東海の海の外、甘水のほとりに羲和の国があり、そこに生える世界樹・扶桑(扶桑はかつて日本にあったとされる巨木)の下に住む女神である羲和は、神車を引きながら、子である「十の太陽たち=三足のカラス」を世話している。天を巡ってきてくたびれた太陽を湯谷で洗っては扶桑の枝にかけて干し、輝きを蘇らせるという。 

倶舎圓光 倶舎論光記の誤りと思われる。倶舎論光記は唐の普光が倶舎論に付けた註及び論考。 


[解説]

  日天は、仏教における天部の一人で、十二天の一人。元はバラモン教の神であったが、後に仏教に取り入れられた。正しくは日天子で日天は略称。宝意天子、宝光天子などの異名もある。太陽(日輪)を神格化した神で観世音菩薩の変化身の一つともされる。太陽を宮殿とし、その中に住すという。両界曼荼羅や十二天の一人として信仰され、単独で信仰されることはほとんどない。 

     

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